1
『やあ、今日は。 先日はどうも有難う』
第1回月例会の丁度1週間後の土曜日の午後3時頃、私はT大の近くのH通りの路上で祥子と美由紀を見付けて声を掛ける。
『まあ、祐治さん』と祥子が声を上げる。 『こちらこそどうも有難うございました。 この間はすっかり楽しませていただいて』
『所で今日もまたお揃いで、どちらヘ?』
『ええ、ちょっとこの先のRに行ってケーキを買ってきた所なの』
確かに祥子はケーキらしい小さな箱を抱えている。
『祥子、ケーキとなると目が無いのよ』と横から美由紀が言う。 『それにこの辺を歩いていると祐治さんに会えるかも知れないって、祥子が言って』
『あら、そう言ったのは美由紀よ』と祥子が反論する。
『そら、また始まった。 どっちでもいいよ』と私。 3人で顔を見合せて笑う。
『ところで』と改めて祥子が言う。 『せっかくお会いしたんだから、その辺でお茶でもご一緒しない?』
『うん、有難う。 でも、今日はちょっと都合が悪いな』
『あら、お忙しいの?』
『いや、時間はあるんだけど、ちょっと事情があってね』
私はにやにやする。 祥子も笑いながら言う。
『そうもったいぶらないで、おっしゃいなさいよ。 きれいな女の子とデートの約束があるって』
『いや、僕にはそんないい子はいないよ。 もしもデートをするのなら、お2人とするよ』
『まあ、お口がお上手ね』。 祥子はまた笑う。 そして改めて、『じゃどうして?』と訊いてくる。
話したくてうずうずしていたことを、丁度無理に聞き出された格好になる。 それでも渋々のような顔をして答える。
『うん、実は今、自分ひとりでのプレイの最中なんでね』
『えっ、プレイ?。 一体、何のプレイなの?』
プレイと聞いて祥子ががぜん興味を示してくる。 そして私の全身を見回して不審そうな顔をする。
『見た所、今日は手も自由のようだし、ほかにも何の変った所も見付からないけど』
美由紀も『そうね』という顔をしている。
『うん、実は昨日から、ノーアイオウ・プレイと言って、口からは食べ物や飲み物を一切とらず、また、トイレにも行かない、というプレイをしているんだ』
『まあ、そんなことをなさってるの』
『うん、それだから、残念ながら今日はお茶は遠慮するよ』
『そうね。 それじゃ、お茶にお誘いしても無理ね』
祥子もやっと納得した顔をする。 そして改めて言う。
『ええ、解ったわ。 それで今日はこれからどうなさる御予定?』
『うん、そうだね。 今日はこれから本屋にでも寄ってもう少し時間をつぶして、それからマンションに帰ろうかと思っていたんだけど』
『それじゃ、あたし達のマンションにいらっしゃらない?。 そのプレイの事をもっと詳しく伺いたいし、そういうことじゃケーキを御馳走する訳にはいかないけど、丁度いい機会だから、ほかで色々とおもてなしをして上げるわよ』
祥子は意味ありげに笑う。 私は先日の第1回月例会の別れ際に祥子が言った言葉、「あたし達のマンションに来て貰えれば、何時でもちゃんとおもてなしをして上げる」、を思いだす。 何だか祥子の「おもてなし」を受けてみたくなる。
『そうだね。 それじゃちょっとお邪魔させて貰おうか』
『まあ、嬉しい』
祥子が声をあげる。
『美由紀も構わないかい?』
『ええ、もちろんよ』
美由紀も嬉しそうな顔をする。
2
3人で祥子達のマンションの方向に歩き出す。 しばらくは人通りが多く、並んでは歩けないので縦一列になって黙って道をたどる。 そしてH3丁目の交差点を通り過ぎ、さらに少し行って右に曲がって、やっと3人が並んで歩けるようになる。
2人の間にはさまれて歩きながら、どちらへともなく話し掛ける。
『こうして3人でこの道を歩いていると、一番最初に誘拐されて祥子達のマンションに連れていかれた時のことを思い出すね』
『まあ、誘拐だなんて』と祥子が笑う。
『でも、祥子は確かにそう言ったよ』
『ええ、そうは言ったわ。 でも、祐治さんもおいやじゃなかった筈よ』
『まあ、それはそうだけど』。 私も笑う。 『でも、あの時はまだ祥子達がプレイをするなんて全然知らなかった。 そしてマンションに着いてすぐに後ろ手に縛られた美由紀を見せられてびっくりしたんだっけね』
『ええ』と美由紀が小さい声で応える。 祥子も懐かしそうな顔をして言う。
『ええ、そうだったわね。 それで祐治さんとプレイをご一緒するようになって』
3人の歩く速度が少し落ちる。 祥子が続ける。
『あの時、あたし達は祐治さんにある程度の期待はしていたけど、こんな素晴らしいプレイメイトになって貰えるなんて、夢にも思ってなかったわ』
『うん、僕もだ』
『考えたら、あれからまだ2ヶ月余りしか経っていないのね。 もう何年も昔からプレイをご一緒してたような気がするけど』
『そうだね。 ずいぶん色々とプレイをしたね』
私も感心して今までのプレイの数々を思い返す。
『ほんとに、祐治さんが次々に御披露して下さった素晴らしいプレイにはびっくりさせられ通しだったわ』
『いや、祥子達の、特に吊りを中心としたプレイは大したものだよ。 お陰でこの2ヶ月の間に僕もすっかりそういうプレイの楽しさを覚えて、すっかりその魅力のとりこになってしまったからね』
『それにあたしのお誕生日を祝って下さった頃までに祐治さんの手持ちのプレイはすっかり見せて下さったのかと思っていたのに、この前はFDとかでびっくりさせられたし、今日はまた新しい、ノーなんとかと言うプレイをなさっているでしょう?』
『うん、ノーアイオウ・プレイ。 でも今度こそ本当に、僕一人でやっていたプレイの出し納めだよ』
『まあ、適当に割り引いて伺っておくわ』
祥子は笑う。
行く手に祥子達のマンションが見えてくる。
『いずれにしても、あの時、祥子達に誘って貰って、プレイメイトになるようにお膳立てして貰えたのは有難かったな。 僕も一人でするプレイにそろそろ限界を感じ始めていたし、そうかと言って自分でプレイメイトを見付けるあては全くなかったからね』
『そうね。 あたし達も2人だけのプレイに少しマンネリを感じて、新しいプレイメイトが欲しくて目星をつけてお誘いしたんだけど、それがこんな素晴らしい方に当るなんて、ほんとに幸運だったわ』
『そんなに言って貰うと、ちょっと恥ずかしいな』
『いいえ、そんなことないわ。 あたし達、この上ないプレイメイトに恵まれて、本当に感謝してるのよ』
『ええ、そう』と美由紀も言う。
マンションの前に着く。 立ち止まって2人の顔を見ながら、『どちらにしても、お互いに親しい友達になれてよかったね』と言う。 2人とも『そうね』とうなずく。
3
ロビーに入り、エレベーターで6階に上がる。 そしてまっすぐ祥子達の住居に行って中に入り、いつものLDKに通される。 食卓の周りに3人が座る。
『今日はケーキを御馳走するわけにいかないとすると、何でおもてなししようかしら』
まず、祥子がそう言っていたずらっぽく、ちょっと首をかしげてみせる。
『まあ、とにかく先ず、手を縛ってあげるわね』
祥子は立って部屋の隅へ行き、そこにおいてあった何時もの赤いバッグの中から紐を取り出してくる。 そして私を立たせ、後ろにまわって両手首を後ろ手に縛り合せる。 縛りは余りきつくはないが、祥子が縛ったからには手を動かしても緩む気配はない。 それから『ついでに足も』と言って私の両足首を揃えて縛り合せる。 私は祥子のなすがままに任せる。
祥子は足首を縛ったついでにちょっと長ズボンの裾を捲ってみて、『靴下にしては随分手ざわりが厚いと思ったら、下にまだ何か穿いてらっしゃるのね』と言う。
『うん。 タイツを穿いている』
『まあ、またタイツを穿いてるの。 何かいわくがありそうね。 でもいいわ。 それは後で順々に伺うから』
祥子は私の椅子を元の向きになおし、私を座らせてから自分の席に戻る。
『今日はお茶も差し上げられないから、早速お話しを伺うわ。 まず、そのノーアイオウとかいうのはどういう意味なの?』
『うん、アイオウというのは本来は計算機の用語で、インプットとアウトプットの頭文字をとったものなんだ。 つまり、入力と出力、もっとくだいて言うと、計算機にデータを入れたり、計算機からデータを出したりすることなんだ』
『ああ、アイオウってこう書くのね』と美由紀が横にあった紙にサインペンで「I/O」と書いてみせる。
『うん、そう。 美由紀はさすがに数学科だけあってよく知ってるね』
『ええ、だって』と美由紀は笑う。 『この頃の数学科の勉強って、計算機みたいなことばかりやってるんですもの』
『うん、そんなものかな』と私も笑う。 説明を続ける。
『それはともかくとして、ノーアイオウはそれに否定のノーを付けたものなんだ』
『つまり、こうなのね』
美由紀が「I/O」の前に「No」を書き加えて、「No I/O」とする。
『うん、その通り。 つまり、ノーアイオウと言うのは、何につけても出し入れのないことを意味する。 そこでノーアイオウ・プレイでは、一定期間、身体から固体と液体を全く出し入れしないで過ごすんだ。 とは言っても、汗や鼻水が出るのは止められないけど、その外は口や鼻からも空気以外は何も出し入れせず、便やお小水は全く出さないで我慢するんだ』
『よく解ったわ。 でも』と祥子がいたずらっぽい笑顔を見せて訊く。 『タバコの煙はどうなの?。 入れてもいいの?』
『うん。 霧や煙は気体みたいなものだから、吸い込んでもいいことにしている。 じゃないと霧や煙のある場所では呼吸が出来ず、窒息してしまうからね』
『まあ、嬉しい。 それじゃ、タバコ責めはしてもいいのね。 よく憶えておくわ』
また後でタバコ責めをされることになりそうだ、とぞくぞくっとする。
『それでノーアイオウ・プレイの大体の内容と名前の意味とが解ったけど、細かいやり方を伺う前に、まず、どうしてそういうプレイをするようになったのかを伺おうかしら』
『そうだね。 大したことではないけど』。 私はちょっと記憶をたどる。 『このプレイを始めたのはやはり、どのくらいの時間、お小水を漏らさずに我慢できるか、という興味からだったように憶えているね。 そこで確かに漏らさないことを保証するものとしてPセットでPを封鎖して学校に出掛けたのが最初だった気がするよ』
『ふーん』
2人が目を輝かせて聞き入る。
『それ、何時頃のお話?』と祥子がきく。
『そうだね。 大学4年の春のことだったから、今から2年あまり前かな』
『それで、その日はどの位、我慢してたの?』
『うん、その日は朝、トイレに行った後で9時頃にPセットをして学校に行って、夕方の5時頃、学生ハイツの自分の部屋に戻って、急いでPセットを外してトイレに行ったんだから、そうだね、8時間位のものかな?』
『ああ、そう。 その位ならあたしでも出来そうね。 うっかりしてると、何の気なしに5~6時間もおトイレに行かないこともよくあるから』
『そうだね。 この位ではプレイと言うほどのことではないね』
『でも今はそんなことではないんでしょう?。 さっきのお話でも昨日からと言うから、少なくとももう16時間は経つわよね』
『うん、実際は昨夜の9時前にPセットをしてノーオウを始めたから、19時間近くになるかな』
『まあ』と美由紀がびっくりしたように声をあげる。 『もう、そんなにもおトイレに行ってないの』
『うん、行ってない。 それに今ならまだまだ我慢が出来るよ』
『ふーん』
美由紀がまた感心した顔をする。
4
ところへ横で電話のリンが鳴る。 祥子がすっと立って行って受話器を取り、『あら、孝夫?』と言っている。 聞き耳をたてる。
『ああ、そう』
『それじゃ、ちょっといらっしゃらない?』
『ええ、丁度今、祐治さんが見えてるの。 ええ、街で偶然お会いして』
『ええ、そうなの。 また、新しいプレイをご披露していただいて、お話を伺ってる所なの』
『ええ、有難う。 ケーキは用意してあるわ』
『ええ、じゃ、お待ちしてるわよ。 じゃあね』
電話が終り、祥子が席に戻る。 そして、『今、孝夫がここへ来るって』と要点だけ簡単に説明し、『祐治さんもいいわね』と事後承諾を求める。
『うん、もちろんいいよ』と応える。
『孝夫さん、どこから電話を掛けてきたの?』と美由紀がきく。
『ええ、孝夫の学校の前からですって。 学校も終って、まっすぐ家に帰るのも面白くないから、まずちょっと電話してみたんですって』
『ふーん、偶然だね』
『ええ、そう。 丁度今、祐治さんが来ていて、新しいプレイをご披露して貰ってる、と言ったら、とても喜んでたわ。 それじゃ是非伺いますって』
『ふーん』
『とにかく、もう20分もすれば、ここに着くって言ってたわ』
『そうね。 孝夫さんの学校からだと、歩いてでもそんなもので来れるわね』
美由紀もうなずく。
『孝夫君がもうすぐ来るのなら、僕の話の続きもそれからにしようか』
『いいわよ。 孝夫には後からあたしが話してあげるから』
『うん、じゃ、そうするか』
私は祥子の意見に従うことにする。
5
『じゃ、また、お話の続きを聞かせて』と祥子がうながす。
『うん』とうなずく。
『それで』と祥子が続ける。 『さっきはノーアイオウ・プレイの始まりの話を伺ったわね。 その後、どういう風に進んだのか話して下さるかしら』
『うん、そうだね』。 私は頭の中で今までのプレイの経過を素早く回想する。 『それから後はね。 もっと長い時間のノーアイオウを狙ったり、Pセットを簡単には外せないように腰の備えを厳重にしたり、ああ、それから、水分を取らなければノーオウが我慢し易いということでノーアイを加えたりして、段々に発展してきたんだ』
『ああ、そう』と祥子はうなずく。 『そうね。 それを全部伺ってては大変ね』
『そうだね。 僕もそんなには筋道たっては話せないし』
『それで』と今度は美由紀が訊いてくる。 『ノーアイやノーオウは今では普通は何時間位なさってらっしゃるの?』
『うん。 普通はノーアイの方、つまり食べたり飲んだりするのを我慢する方は48時間を標準にしている』
『えっ、48時間も?』と祥子が声を上げる。 『あたしなんか、一食抜いただけでおなかがぐうぐう言って、我慢ができなくなるのに』
『うん、でも僕はおなかが空くのには割に平気な方なんで、そんなに辛くはないんだ』
『でも、お水も飲めないんでしょう?』と美由紀が心配そうに言う。 『普通に言う断食はお水は飲んでもいいから長い時間続けられるって聞いてるけど、お水も飲めないとなるとすごく辛いんじゃないかしら』
『そうだね。 確かにおなかが空くのよりも喉の渇くほうが辛いね。 でも、かんかん照りの下に長い時間立ってたりして汗が出過ぎて熱射病になったりしない限りは、何とか我慢ができるもんだよ』
『ふーん』
2人がまた感心したような顔をする。
『それでおトイレを我慢する方は?』とまた祥子が話を進める。
『うん。 ノーオウの方は36時間を標準にしているけど、その方が身体の状態によってはノーアイよりもよっぽど辛くなる』
『えっ、36時間?』と今度は美由紀がびっくりしたような声を出す。 『というと1日半もなの?。 そんなにおトイレに行かないでも我慢ができるものなのかしら』
美由紀は半信半疑な顔をする。 祥子も同様な顔をしている。
『うん。 僕も最初の頃は丸1日、つまり24時間位が限度かな、と思っていたけど、やり方によっては結構我慢が出来るものなんだね』
『やり方って?』と今度は祥子がきく。
『うん、つまりノーアイをノーオウよりも半日早く始めるようにして、出すものは充分に出してからノーオウに移るようにしているんだ。 このプレイの最中は食物も飲物も一切とらないからノーオウも36時間位は何とか我慢ができるんだね』
『ふーん』
『実はもっと我慢することも出来そうだけど、それ以上我慢してて膀胱でも破れたりするととんでもないことになるから、自重してるんだ』
『すごいわね』と美由紀が言う。
2人が話を消化するのに手間取るかのように、ちょっと間があく。 そして祥子がまた言い出す。
『それで今してるプレイはいつ始めたの?』
『うん、今のは昨日の朝の8時過ぎに最後の食事を済ませて、9時丁度からノーアイを開始したんだ』
『するともうすでにお食事を4回も抜いて、30時間以上、何も食べたり飲んだりしてないのね。 それにしてはお元気ね』
祥子がまた感心した風を見せる。
『うん、案外平気だね。 僕はおなかが空いたという感覚が鈍いこともあるだろうけど』
『ああ、そう』
祥子は一つうなずく。 そしてまた次に移る。
『それで、プレイを始めた後はどうなさったの?』
『それはまあ、普通の生活をして。 つまり、それから学校へ行って、普段通りの仕事をして』
『ヘー、ちゃんと学校へいらっしゃったの』
『うん、休むわけにいかないからね。 それに普通の生活をしていた方が気がまぎれて我慢がし易いんだ』
『でも学校へ行って、何か困ることはないの?』
『うん、仕事については何も不都合はない。 ただ困るのは、仕事の合間にお茶を出されたりした時なんだ』
『なるほど、そういうことはありそうね』
『うん、昨日も研究室事務の女の子が3時過ぎにお茶を入れて皆に配って持ってきてくれてね。 本当の理由を言うわけにはいかないから、何とかごまかして手をつけずにすませたけど』
『まあ』と祥子が笑う。 『ちょっと、その場面を見たかったわね』
『まあ、大したことはないけどね』
私も笑う。
『そして?』と祥子がまた次をうながす。
『うん、とにかくそれで学校で一応の仕事をして、それから夕方、マンションに帰って、夜になって、やはり8時すぎに最後のトイレに行って出来るだけ出すものを出して、9時前にノーオウのための腰のセットを済ませて、9時丁度からノーオウを始めたんだ』
『というと、今度のプレイは何時終るの?』
『うん、今度のプレイも何時もの通り、ノーアイが48時間、ノーオウが36時間で計画しているから、終りはどちらも明日の朝の9時ということになる』
『ああ、そう。 明日の朝の9時ね。 よく憶えておくわ』
祥子がうなずく。
『それで、そんなに長い間、おトイレに行きたくはならないの?』と美由紀が心配そうにきく。
『うん、その方もしっかり抑えてあるから、案外平気なんだ』
『抑えてあるって、何か特別の仕掛があるの?。 そう言えばさっき、腰のセットとか言ってたわね。 あれ、何なの?』と祥子。
『うん。 実はノーオウを始める前に僕なりにちょっと儀式をしてね。 その終りに、簡単にはノーオウを破ることが出来ないように、それと我慢がし易いようにと、腰の周りをきっちり固めておくんだ』
『それは面白そうね。 詳しく聞かせて下さらない?』
『うん、いいよ』
私も聞いて貰いたいと思っていた所だったので、祥子の注文を快く引き受ける。